（東京から引っ越してきた人の作った京都小事典）

（平安時代の）皇后 　　　　　　　　　　(INDEX：索引へ)

• 平安時代の皇后の意味
  • 【広辞苑第六版】によれば
    • 皇后とは
      • 三后の一つ。天皇の正式な配偶者。皇帝の正妻。きさき。きさいのみや。后宮。→中宮。
    • 中宮とは
      • �@内裏。禁中。�A皇后・皇太后・太皇太后の称。三后。�B平安初期、皇太夫人（＝天皇の生母で、夫人の位にある人）の別称。�C皇后の御所。また、皇后の別称。�D皇后と同資格の后きさき。新しく立后したものを皇后と区別していう称。
    • どうもしっくりこない。
      • 「正式な配偶者」。天皇の「夫人、妃」などは「正式な配偶者」と言わないのか、「皇后になった人だけが正式な配偶者」ということか。
      • 「後から立后したものが中宮」。そんなことはないのでは。
    
    
  • 「広辞苑」の定義に当てはまらない例は直ぐに見つけることができる。
    1. 「夫人、妃、后」など天皇の配偶者を皇后にしない天皇はいる。
       • （一例だが）54仁明〜63冷泉は「配偶者」がいるにも拘わらず歴代ずっと配偶者を皇后にしていない。承和元年(834)〜永祚元年(989)の約１５０年は皇后不在であった。
         • 60醍醐には多くの「女御・更衣」がいて子供も多かったが、穏子１人が中宮になっただけ。
    2. 逆に天皇の「配偶者」でないのに皇后になる人もいる。
       • 令子内親王は「未婚のまま」約２６年皇后を勤めた。
       • さらに藤原育子〜昇子内親王の連続する４代の皇后も天皇の「夫人、妃、后」ではない。
         • 天皇の「准母、養母」として「皇后」になっている。いずれも院政時代である。
    3. 天皇が崩御して次の天皇が即位しても前天皇の配偶者が皇后を続けることもある。
       • 藤原遵子、藤原すけ子など。
       • 居続けられると「次の天皇の配偶者」は皇后になれない。それとも、次の天皇の皇后になれる人がいないから「居続ける」のか。
    4. 後から立后して皇后になる人もいる。
       • 治暦４年(1068)藤原歡子は、先に70後冷泉の皇后藤原寛子がいるにも拘わらず皇后を中宮に戻して、女御藤原歡子が後から皇后になった。
         • 「広辞苑」は一帝二后で有名な「66一条の藤原定子と藤原彰子」のときの「新しく立后した彰子が中宮になった例」を、重く見過ぎている。
    
    
  • 「広辞苑」は触れていないが「皇后・中宮は同時期には１人しか置かない」（ようである。平安時代の記録を見る限り）。
    • 64円融の中宮藤原遵子は、永祚２年(990)（１０月）藤原定子が66一条の中宮に冊立されるとき、64円融の皇后になり（異なる天皇であっても）「皇后・中宮は同時期１人」の原則を守った。
    • 66一条の中宮藤原定子は、長保２年(1000)藤原彰子が66一条の中宮に冊立されるとき、66一条の皇后になり「史上初の一帝二后」になったが、「皇后・中宮は同時期１人」の原則を守った。
  
  
• 【私説：皇后の性格は固定的なものではなく、時代ごとに性格は変異する】
  • 平安時代初期は、配偶者はほとんどが「女御、更衣」、しばらくして「皇后、中宮」という名前が使われ始めた。原則各代１人、信頼のできる配偶者だけが皇后に冊立された。
    • 皇后＝50桓武「藤原乙牟漏」、52嵯峨「橘嘉智子」、53淳和「正子内親王」
  • 摂関時代は、摂関家が天皇外戚関係を強化するために皇后・中宮の区分無く「摂関家の若い女性を配偶者」に送り込んだ。「男子を生むための“駒”が皇后と中宮」とも言える。
    • 多くの「皇后・中宮」が乱立した。
  • 院政時代は、幼少天皇が多くなり（幼少天皇に配偶者は要らないが）儀式の相方として「天皇の准母」が必要になり「准母が皇后」に冊立された。
    • やす子内親王が初の准母中宮（同母弟73堀河（８歳））、令子内親王が初の准母皇后（甥74鳥羽（５歳））。

• （平安時代の）皇后一覧
  1. 藤原乙牟漏（天平宝字４年(760)誕生）

     父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
     藤原良継	50桓武	延暦２年(783)4月18日、２４歳	延暦９年(790)閏3月10日、３１歳	約７年	崩御

     • ◆立后の状況＝天応元年(781)50桓武が即位、２年後に立后。平安時代最初の皇后。
     • ◆退后の事由＝崩御、「高畠陵」（東向日駅の西方）に埋葬された。（その１６年後）50桓武は延暦２５年(806)在位のまま崩御した。
     • 50桓武には多くの「夫人」がいたが、皇后になったのは「乙牟漏」１人。51平城、52嵯峨の生母。
     
     
  2. 橘嘉智子（延暦５年(786)誕生）

     父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
     橘清友	52嵯峨	弘仁６年(815)7月13日、３０歳	弘仁１４年(823)4月23日、３８歳	約８年	皇太后／太皇太后

     • ◆立后の状況＝延暦２１年(802)頃52嵯峨の女になった。大同４年(809)52嵯峨が即位、このときの「妃は高津内親王」。嘉智子の功績が認められて、夫人の地位から、弘仁６年(815)「高津内親王の妃を廃し」立后。約９０年ぶりの皇后。
     • ◆退后の事由＝52嵯峨の弘仁14年4月16日譲位に伴い、退后。その後54仁明の太皇太后になった。（52嵯峨崩御の８年後）嘉祥３年(850)崩御（６５歳）、「嵯峨陵」に埋葬された。死後檀林皇后と呼ばれた。
     • 54仁明、正子内親王の生母。
     
     
  3. 正子内親王（大同４年(810)誕生）（先頭へ）

     父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
     52嵯峨	53淳和	天長４年(827)2月26日、１８歳	天長１０年(833)3月2日（833年3月26日）、２４歳	約６年	皇太后／太皇太后

     • ◆立后の状況＝弘仁１４年(823)頃（叔父の）53淳和に入内、４年後に立后。
     • ◆退后の事由＝53淳和の天長10年(833)2月28日譲位に伴い、退后。その後55文徳の太皇太后になった。（53淳和崩御の３９年後）元慶３年(879)崩御（７０歳）、「円山陵墓」（参考地、大覚寺近く）に埋葬されたらしい（宮内庁の治定）。
     • 53淳和と正子のとの間の子「恒貞親王」は承和９年(842)承和の変で“無念にも”皇太子を廃せられた。これで母嘉智子との関係は最悪になった。
     
     

     嵯峨陵（橘嘉智子）	円山陵墓参考地（正子内親王）
     52嵯峨の「嵯峨山上陵」とは離れているが、同じ嵯峨の「嵯峨陵」（右京区嵯峨鳥居本深谷町）に埋葬された。「檀林皇后深谷山陵」とも呼ばれる	母の嵯峨陵と同じ嵯峨の「大覚寺」（52嵯峨の嵯峨院址、正子が大覚寺に改めた）近くに葬られたか。現在は「参考地」になっており、確定していない（立入禁止）

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  4. 藤原遵子（のぶこ、天暦１１年(957)誕生）

     父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
     藤原頼忠	64円融	永祚２年(990)10月5日、３４歳	長保２年(1000)2月25日、４４歳	約１０年	皇太后／太皇太后

     • ◆立后の状況＝即位して９年経った貞元３年(978)（４月）64円融に入内（（天禄４年(973)冊立の中宮藤原きみ子がおられたので）女御として）、（天元２年(979)中宮きみ子が崩御されたので）天元５年(982)中宮に冊立、入内から１２年後の永祚２年(990)10月5日�@道隆の暴挙で、立后。初の中宮を経ての皇后となった（結果として約１５０年ぶりの皇后が誕生）。
       • 64円融の後宮は大戦場であった。
     • ◆退后の事由＝64円融は永観２年(984)譲位・正暦２年(991)崩御したが、譲位・崩御後も皇后位に居続けた。退后したのは「66一条の中宮定子が皇后に祭り上げられた」ため、弾き出された。その後、皇太后、寛弘９年(1012)太皇太后になり、寛仁元年(1017)（６月）まで存命した（６１歳）。宇治陵に埋葬された。
     • 素腹の后と揶揄されたとおり、子を生まなかった。
     
     
  5. 藤原定子（貞元２年(977)誕生）

     父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
     藤原道隆	66一条	長保２年(1000)2月25日、２４歳	長保２年(1000)12月16日、２４歳	１年弱	崩御

     • ◆立后の状況＝永祚２年(990)（１０月）１１歳の66一条に１４歳で入内（女御）、同年皇后に冊立されて「中宮」を号した。
       • 永祚２年(990)10月5日時点では「中宮遵子」がおられたので「女御定子→中宮定子、中宮遵子→[4]皇后遵子」という�@道隆の暴挙に出た。
       • 長保２年(1000)2月25日、今度は�A道長を慮る奇策で「女御彰子→中宮彰子、中宮定子→皇后定子、[4]皇后遵子→皇太后遵子」という「トコロテン人事」が行われた。
     • ◆退后の事由＝皇后に祭り上げられた年に失意のうち崩御。本人の辞世によって（藤原家女子の）宇治陵でなく「鳥戸野陵」に埋葬された（２４歳）。
     • 女房清少納言の枕草子で名前はよく知られる。
     
     
  6. 藤原すけ子（女偏に「成」、読みは不詳、天禄３年(972)誕生）（先頭へ）

     父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
     藤原済時	67三条	寛弘９年(1012)4月27日、４１歳	万寿２年(1025)3月25日、５４歳	約１３年	崩御

     • ◆立后の状況＝正暦２年(991)67三条が皇太子のとき入内。寛弘８年(1011)67三条即位後、藤原道長の横車（中宮妍子）があった（寛弘９年(1012)2月14日、道長が次女「妍子」を中宮に押し込んだ）が、（道長を嫌う）67三条の強い意志で間もなく中宮を経ないで皇后位に就いた。
     • ◆退后の事由＝67三条の長和５年(1016)譲位・寛仁元年(1017)（６月）崩御後も、皇后位を最後まで守り（８年強）、万寿２年(1025)崩御で退后（５４歳）。
     • ４男２女を設けたが、道長派の圧迫を受けて、栄華を見ること無い人生を送った。宇治陵に埋葬された。
     
     
  7. 禎子内親王（よしこ、長和２年(1013)誕生）

     父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後	院号と宣下時期
     67三条	69後朱雀	長元１０年(1037)3月1日、２５歳	永承６年(1051)2月13日、３９歳	約１４年	皇太后／太皇太后	陽明門院（治暦５年(1069)2月17日）

     • ◆立后の状況＝万寿４年(1027)69後朱雀が皇太子のとき１５歳で入内。長元９年(1036)69後朱雀即位後、間もなく中宮に冊立。「もと子（女偏に「原」）」を養女にした藤原頼通が中宮に押し込むために）翌年「女御もと子→中宮もと子、中宮禎子→皇后禎子」という「�B頼通暴挙」で皇后に。
     • ◆退后の事由＝69後朱雀の寛徳２年(1045)譲位・崩御したが、皇后位を続ける。永承６年(1051)2月13日「頼通の新策暴挙」で皇太后に。
     • 69後朱雀との仲は睦まじかったようで（治暦５年(1069)太皇太后位を空けるために）71後三条（在位：1068-1072）の生母という名目で門院宣下を受けた。
     • 72白河（孫）が院政を敷いている期間（1086-1096）も健在で、寛治８年(1094)崩御（８２歳）するまで大きな影響力を持っていた。「円乗寺東陵」（龍安寺の裏）に埋葬された。
     
     

     鳥戸野陵（藤原定子）	円乗寺東陵（禎子内親王）
     遺言どおり「鳥戸野陵」（東山区今熊野泉山町）に埋葬された。「とりべの の みささぎ」と読む	夫69後朱雀「円乗寺陵」の「東」に葬られた

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  8. 藤原寛子（長元９年(1036)誕生）

     父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
     藤原頼通	70後冷泉	永承６年(1051)2月13日、１６歳	治暦４年(1068)4月17日、３３歳	約１７年	中宮／皇太后／太皇太后

     • ◆立后の状況＝永承５年(1050)70後冷泉に１５歳で入内（女御）、翌年の永承６年(1051)2月13日（既に冊立されていた「中宮章子内親王」は据え置いて）「女御寛子→皇后寛子、[7]皇后禎子→皇太后禎子」という�C頼通の（中宮を経ない）新策暴挙が行われた。
     • ◆退后の事由＝70後冷泉の崩御（退位）の２日前の治暦4年4月17日（教通の異常な暴挙で）寛子は史上初の皇后が中宮に戻ることになった。70後冷泉の崩御後も中宮を継続（１年強）。
     • 寛子は父・頼通から譲られた「四条宮」（左京五条三坊一町）を里第としたことで四条后と呼ばれた。
     • 寛子は長生きで、更に皇太后、太皇太后を経て、75崇徳の代の大治２年(1127)まで生きた（９２歳）。宇治陵に埋葬された。
     
     
  9. 藤原歡子（よしこ、治安元年(1021)誕生）

     父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
     藤原教通	70後冷泉	治暦４年(1068)4月17日、４８歳	延久６年(1074)6月20日、５４歳	約６年	皇太后

     • ◆立后の状況＝永承２年(1047)70後冷泉に２７歳で入内（翌年女御）したが、死産などがあり「里第」に引き籠もり勝ちだった。（これを気の毒と思ったか、70後冷泉の崩御寸前の）治暦4年4月17日に「女御歡子→皇后歡子、[8]皇后寛子→中宮寛子、中宮章子内親王→皇太后章子内親王」という�D異常な暴挙を教通が起こした（結果、平安時代最高齢での皇后冊立となった）。70後冷泉は２日後に崩御したが、歡子は皇后位を継続した。
     • ◆退后の事由＝延久６年(1074)師実のトコロテン人事で皇太后に。
     • 皇后退位後は、以前から保有していた「洛北の小野の山荘」を改めて出家したことで小野皇太后と呼ばれた。康和４年(1102)崩御（８２歳）。宇治陵に埋葬された。
     
     
  10. 馨子内親王（「さほこ」と訓の記録がある、長元２年(1029)誕生）（先頭へ）

      父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
      68後一条	71後三条	延久６年(1074)6月20日、４６歳	寛治７年(1093)9月4日、６５歳	約１９年	崩御

      • ◆立后の状況＝章子内親王の妹として生まれ、永承６年(1051)71後三条が皇太子（１８歳）のとき２３歳で入内。治暦４年(1068)71後三条即位に伴ない、翌年４１歳で中宮に冊立。延久５年(1073)71後三条崩御後の延久6年6月20日に�E師実のトコロテン人事「女御賢子→中宮賢子、中宮馨子内親王→皇后馨子内親王、[9]皇后歡子→皇太后歡子」で皇后に。
      • ◆退后の事由＝その後も皇后位に居続けて、崩御（６５歳）により退后（結果、平安時代最高齢での皇后退后となった）。
      • 71後三条には「女御源基子、夫人藤原茂子」がいて、馨子内親王は（71後三条の東宮時代に）男女各１人を生んだ（共に夭折）だけ。形式的な正妃だったか。
      • 皇后になってから（配偶者の71後三条はもういないので）「東北院の西院」（後宮の西院ではなく、法成寺の「東北院の西院」らしい）で皇后のまま余生を過ごし西院皇后の別名がある。
      
      
  11. 令子内親王（よしこ、承暦２年(1078)誕生）

      父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
      72白河	----	嘉承２年(1107)12月1日、３１歳	長承３年(1134)3月19日、５７歳	約２６年	太皇太后

      • ◆立后の状況＝承暦２年(1078)72白河と中宮賢子の間に生まれ、承暦３年(1079)２歳で内親王宣下。養祖父藤原師実に養育された。寛治３年(1089)から１０年間賀茂斎院を勤めた。74鳥羽の実母（藤原苡子）が74鳥羽の難産で死去したため、嘉承２年(1107)甥である74鳥羽の准母となり、72白河院政下の74鳥羽（５歳）の即位に伴ない、史上初の准母皇后に。
      • ◆退后の事由＝平安時代最長の皇后を勤め、長承３年(1134)[12]異例の泰子皇后誕生で退后し、（皇太后を飛ばして）太皇太后に。
      • 「二条堀河亭」に住んだことから二条皇太后と呼ばれる。天養元年(1144)（４月）崩御（６７歳）。「上醍醐陵」（上醍醐開山堂の近く）に埋葬された。
      
      
  12. 藤原泰子（嘉保２年(1095)誕生、幼名＝勲子）

      父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後	院号と宣下時期
      藤原忠実	74鳥羽	長承３年(1134)3月19日、４０歳	保延５年(1139)7月28日、４５歳	約５年	院	高陽院（保延５年(1139)7月28日）

      • ◆立后の状況＝忠実・72白河・藤原璋子（待賢門院）「三者の確執」で不遇をかこっていたが、大治４年(1129)72白河崩御で忠実が復帰し、長承２年(1133)74鳥羽上皇に３９歳で入内。上皇妃ながら即、女御を経て皇后に（異例）。
      • ◆退后の事由＝（よくわからないが、養女の藤原得子（後の美福門院）が女御宣下受けたからか）保延５年(1139)門院宣下を受けて、退后。
      • 74鳥羽崩御に先立ち（保元元年(1156)）、久寿２年(1155)高陽院で崩御（６１歳）。
      
      
  13. 藤原得子（なりこ、永久５年(1117)誕生）（先頭へ）

      父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後	院号と宣下時期
      藤原長実	74鳥羽	永治元年(1141)12月27日、２６歳	久安５年(1149)8月3日、３３歳	約７年	門院	美福門院（久安５年(1149)8月3日）

      • ◆立后の状況＝長承３年(1134)１８歳の頃、74鳥羽上皇の寵愛を受ける。保延５年(1139)には後の76近衛も生み、女御宣下を受ける。永治元年(1141)（１２月）76近衛即位に伴い国母であることを根拠に上皇妃から74鳥羽２人目の皇后に（74鳥羽には「異例」が多い、藤原泰子も）。
      • ◆退后の事由＝（皇后位に拘らなかったか）久安５年(1149)門院宣下を受けて、退后。
      • 皇后退位後・保元元年(1156)74鳥羽崩御後も「権力を行使」。保元の乱・平治の乱の収束を見届けて、永暦元年(1160)崩御（４４歳）。
      
      
  14. 藤原多子（まさるこ、保延６年(1140)誕生）

      父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
      徳大寺公能	76近衛	久安６年(1150)3月14日、１１歳	保元元年(1156)10月27日、１７歳	約６年	皇太后／太皇太后

      • ◆立后の状況＝幼い頃から藤原頼長の養女になり、久安６年(1150)１２歳の76近衛に入内（女御）。久安６年(1150)１１歳の若さで皇后に。
      • ◆退后の事由＝久寿２年(1155)76近衛が崩御、保元元年(1156)保元の乱で養父頼長が敗死。同年[15]呈子皇后冊立に伴ない、退后。
      • 皇太后／太皇太后になったが、永暦元年(1160)２１歳で78二条の熱望で再入内（別の天皇に入内したのは歴史上唯一人）。しかし78二条は永万元年(1165)が崩御したので、多子は２６歳で出家。建仁元年(1201)崩御（６２歳）。
      
      
  15. 藤原呈子（（多分）しめこ、天承元年(1131)誕生）

      父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後	院号と宣下時期
      藤原伊通	76近衛	保元元年(1156)10月27日、２６歳	保元３年(1158)2月3日、２８歳	約２年	皇太后／院	九条院（仁安３年(1168)3月14日）

      • ◆立后の状況＝１７歳で美福門院の養女に、久安６年(1150)２０歳で藤原忠通の養女になって76近衛に入内（女御）・中宮。久寿２年(1155)76近衛は崩御したが、[17]忻子中宮冊立に伴ない、子供もないまま皇后に。
      • ◆退后の事由＝保元３年(1158)[16]統子内親王皇后冊立に伴ない、わずか２年で退后。
      • １０年間皇太后で過ごしたが、仁安３年(1168)77後白河が女御平滋子を皇太后にするため強引に、呈子に「九条院」宣下し皇太后を引かせた。安元２年(1176)崩御（４６歳）。
      • 権力争いの道具に使われたまま、女御／中宮／[17]皇后／[16]皇太后／[平滋子]院と「人の言うままに押し流された人生」のようだったように見える。
      
      

      小町供養塔（藤原歡子）

      72白河も訪れたことのある補陀洛寺に「供養塔」が建つ。「小野皇太后」の銘がある

      （先頭へ）
      
      
  16. 統子内親王（むねこ、大治元年(1126)誕生）（先頭へ）

      父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後	院号と宣下時期
      74鳥羽	----	保元３年(1158)2月3日、４３歳	保元４年(1159)2月13日、４４歳	丸１年	門院	上西門院（保元４年(1159)2月13日）

      • ◆立后の状況＝生まれてすぐ内親王宣下があり、賀茂斎院にト定されたが、天承２年(1132)（６月）７歳、病で退下。（この間、不明）３３歳になった保元３年(1158)77後白河（統子内親王の１歳年下の同母弟）の（[15]呈子を押し出して、妃でなく）准母として立后。77後白河の策謀か。
      • ◆退后の事由＝（[17]忻子皇后冊立の直前なので、これも77後白河の策謀か）保元４年(1159)（２月）門院宣下を受けて、退后。
      • 永暦元年(1160)（２月）母待賢門院から相続していた法金剛院で出家。文治５年(1189)崩御（６４歳）。墓は「花園東陵」。77後白河にいいように使われただけか。
      
      
  17. 藤原忻子（よしこ、長承３年(1134)誕生）

      父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
      徳大寺公能	77後白河	保元４年(1159)2月21日、２６歳	承安２年(1172)2月10日、３９歳	約１３年	皇太后

      • ◆立后の状況＝久寿２年(1155)77後白河に入内（女御）、翌年（77後白河の力で[15]呈子を皇后に押し出して）中宮に。保元３年(1158)77後白河が譲位（院政）し、78二条が即位、そして78二条の力で78二条の妃「よし子（女偏に「朱」）内親王」を中宮に冊立したので、順繰りで77後白河の中宮忻子が皇后に。
      • ◆退后の事由＝承安２年(1172)平清盛の圧力で80高倉の妃「平徳子」中宮冊立のため「育子中宮→[18]育子皇后、忻子皇后→忻子皇太后」に。
      • 77後白河の后でありながら、子も無く、安元２年(1176)崩御（４６歳）。77後白河と78二条の仲の悪さ・平家の権勢に翻弄された人生だったか。
      
      
  18. 藤原育子（むねこ、久安２年(1146)誕生）

      父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後
      徳大寺実能	----	承安２年(1172)2月10日、２７歳	承安３年(1173)8月15日、２８歳	１年強	崩御

      • ◆立后の状況＝応保２年(1162)78二条１７歳でに入内（女御）、78二条は翌年よし子中宮を退位させて育子を中宮に。３年後の永万元年(1165)78二条が崩御したので、79六条の養母に。しかしその79六条も仁安３年(1168)平清盛によって譲位させられ、承安２年(1172)80高倉の妃「平徳子」に中宮位を空けるため、配偶者だった78二条は崩御している・養子の79六条も譲位したのに80高倉とも無関係なのに皇后に押し上げられた。
      • ◆退后の事由＝立后後わずか１年強で崩御した（２８歳）。
      
      
  19. 亮子内親王（すけこ、久安３年(1147)誕生）（先頭へ）

      父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後	院号と宣下時期
      77後白河	----	寿永元年(1182)8月14日、３６歳	文治３年(1187)6月28日、４１歳	約５年	門院	殷富門院（文治３年(1187)6月28日）

      • ◆立后の状況＝77後白河の第一皇女。久寿３年(1156)斎宮ト宮（伊勢に下る前に）77後白河譲位で、退下。（この間、後白河院政下、平家全盛、治承４年(1180)同母弟「以仁王挙兵」などがあったが、動静は不明）寿永元年(1182)（８月）81安徳（５歳）の准母として皇后に冊立。
      • ◆退后の事由＝寿永２年(1183)80高倉（２３歳）の准母になり（この間、元暦２年(1185)（３月）平家滅亡）文治３年(1187)院号宣下を受けて、退后。
      • 建仁元年(1201)（１２月）には82後鳥羽上皇の要請で84順徳（５歳）の准母にもなった。未婚のまま准母ばかり引き受ける人生。晩年は、御所安井殿に蓮華光院を建立し「安井門跡」と呼ばれた。建保４年(1216)崩御（７０歳）。
      
      
  20. 範子内親王（治承元年(1177)誕生）

      父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後	院号と宣下時期
      80高倉	----	建久９年(1198)3月3日、２２歳	建永元年(1206)9月2日）、３０歳	約８年	門院	坊門院（建永元年(1206)9月2日）

      • ◆立后の状況＝80高倉とその寵姫小督の間に生まれたため、平家に疎まれたが、治承２年(1178)内親王宣下、賀茂斎院にト定、治承５年(1181)（１月）80高倉崩御で退下。元暦２年(1185)（３月）平家滅亡で、日の目を見る。（82後鳥羽が「父・80高倉の寵姫の娘」であったことに気を遣ったか）建久９年(1198)83土御門（82後鳥羽の第一皇子）即位に伴ない83土御門（３歳）の准母となり、皇后に。
      • ◆退后の事由＝元久２年(1205)83土御門に大炊御門麗子が入内（女御、後に中宮）したことで、建永元年(1206)（９月）院号宣下を受けて、退后。
      • 承元４年(1210)崩御（３４歳）。小督の娘に生まれた宿命を背負って過ごした人生だったようです。
      
      
  21. 昇子内親王（（多分）のぼるこ、建久６年(1195)誕生）

      父親	天皇	立后の時期と立后時の年齢（数え年）	退后の時期と退后時の年齢（数え年）	皇后在位年数	退后後	院号と宣下時期
      82後鳥羽	----	承元２年(1208)8月8日、１４歳	承元３年(1209)4月25日、１５歳	１年弱	門院	春華門院（承元３年(1209)4月25日）

      • ◆立后の状況＝82後鳥羽と中宮九条任子（後の宜秋門院）との間に生まれたが、建久７年(1196)任子の父九条兼実失脚で、八条院の猶子に。承元２年(1208)同母弟後の順徳（１２歳）の准母となり、皇后に。
      • ◆退后の事由＝承元３年(1209)84順徳に九条立子が入内（後に女御／中宮）したことで、１年足らずで院号宣下を受けて、退后。
      • 若くして（平安時代皇后最年少で）建暦元年(1211)（１１月）崩御（１７歳）。

花園東陵（統子内親王）	安井念仏寺（亮子内親王）
母・待賢門院74鳥羽中宮藤原璋子の「花園西陵」の向いに埋葬された	皇后「殷富門院」の「安井御所の念仏堂」を継承している法雲山念仏寺（太秦安井北御所町）

• （平安時代の）皇后になれなかった有名な中宮（以下は、中宮全員を取り上げている訳ではない）
  • 藤原穏子（やすこ、仁和元年(885)誕生）（先頭へ）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後
    藤原基経	60醍醐	延喜２３年(923)4月26日、３９歳	承平元年(931)11月28日、４８歳	約９年	皇太后／太皇太后

    • ◆冊立の状況＝昌泰４年(901)60醍醐に入内（女御）。60醍醐の女御・更衣は多々いた。延喜３年(903)保明親王を生んだ（翌年皇太子に）が、延喜２３年(923)（３月）薨御。（60醍醐はこれを悼んだか）同年「中宮」に冊立し、初めて「中宮職」が置かれた。
    • ◆退位の事由＝60醍醐は皇后に立てないまま延長８年(930)譲位（すぐに崩御）、息子の61朱雀が即位したことで、承平元年(931)退位し皇太后に。その後、天慶９年(946)息子の62村上も即位し太皇太后に。
    • 61朱雀・62村上も皇后を立てなかったので、全生涯唯一の后を通した。天暦８年(954)崩御（７０歳）。宇治陵に埋葬された。
    
    
  • 藤原安子（やすこ、延長５年(927)誕生）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後
    藤原師輔	62村上	天徳２年(958)10月27日、３２歳	応和４年(964)4月29日、３８歳	約６年	崩御

    • ◆冊立の状況＝天慶３年(940)成明親王（後の62村上）と結婚。天慶９年(946)村上即位に伴い、女御に。憲平親王（後の63冷泉）、為平親王を産み、天徳２年(958)中宮に冊立された。
    • ◆退位の事由＝守平親王（後の64円融）を産んで、応和４年(964)選子内親王出産後、まもなく崩御。２人の子供が天皇になったので、皇太后・太皇太后を追贈された。宇治陵に埋葬された。
    • 安子の子供・64円融以降、66一条・68後一条・69後朱雀・・・と後期藤原時代の天皇はすべて安子の子孫になる。
    
    
  • 昌子内親王（天暦４年(950)誕生）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後
    61朱雀	63冷泉	康保４年(967)9月4日、１８歳	天禄４年(973)7月1日、２４歳	約６年	皇太后／太皇太后

    • ◆冊立の状況＝応和３年(963)憲平親王（後の63冷泉）と結婚。康保４年(967)冷泉即位に伴い、中宮に冊立された。
    • ◆退位の事由＝63冷泉は、安和２年(969)安和の変後、在位約２年で弟の64円融（１１歳）に譲位したが、昌子は中宮位を継続。64円融が１５歳になって藤原きみ子の入内・中宮冊立に伴い、天禄４年(973)退位して皇太后に。
    • 63冷泉は気の病があり、内裏で過ごすこともなかった。お陰で「子もいない」。名目だけの婚姻であったか。その反動か、仏教に帰依し、永観３年(985)（２月）大雲寺に観音院を創建し、晩年はここで過ごしたか。長保元年(999)「太皇太后宮権大進であった橘道貞（和泉式部の夫）」宅で亡くなり、観音院（後に「岩倉陵」に治定）に土葬された。
    
    

    火葬塚（藤原安子）	岩倉陵（昌子内親王）
    「宇治陵」に葬る前、ここ（現在の左京区吉田泉殿町）で火葬にした。立派な門構えで維持されている	大雲寺の観音院に葬られ、後に「岩倉陵」として治定された

    （先頭へ）
    
    
  • 藤原きみ子（女偏に「皇」、天暦元年(947)誕生）（先頭へ）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後
    藤原兼通	64円融	天禄４年(973)7月1日、２７歳	天元２年(979)6月3日、３３歳	約６年	崩御

    • ◆冊立の状況＝64円融を巡っては「兼通・兼家兄弟、頼忠」の後宮争いが壮絶。�@天禄４年(973)兼通が「きみ子」を２７歳で入内（女御）、間もなく中宮に。�A５年後の貞元３年(978)（４月）頼忠が「遵子」を入内（女御、後に中宮／皇后）。�B同貞元３年(978)（８月）兼家が「詮子」を１７歳で入内（女御）。
    • ◆退位の事由＝天元２年(979)子も無いまま崩御。「きみ子」は皇后になれなかった。宇治陵に埋葬された。
    • （補足）「詮子（あきこ）」は「中宮」にもなれなかったが、66一条を生み国母として政治力を発揮、後に東三条院となった。当然宇治陵に埋葬された。
    
    
  • 藤原彰子（あきこ、永延２年(988)誕生）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後	院号と宣下時期
    藤原道長	66一条	長保２年(1000)2月25日、１３歳	寛弘９年(1012)2月14日、２５歳	約１２年	皇太后／太皇太后	上東門院（万寿３年(1026)11月9日）

    • ◆冊立の状況＝藤原道長の長女。長保元年(999)66一条に１２歳で入内（女御）、この時最大のライバル定子は中宮（永祚２年(990)冊立）であった。長徳元年(995)内覧になった道長を慮って長保２年(1000)に「彰子も中宮」に。史上初の一帝二后の奇策が実行された。定子は長保３年(1001)崩御したため、この後「彰子が唯一の正室」になった。
    • ◆退位の事由＝68後一条、69後朱雀を生み、「定子は皇后になったが、彰子は皇后になる前」66一条が寛弘８年(1011)崩御したため寛弘９年(1012)（２月）退位して、皇太后に。承保元年(1074)（１０月）崩御（８７歳）。宇治陵に埋葬された。
    • 彰子と言えば、紫式部、和泉式部などを雇った華やかな後宮であろうか。
    
    
  • 藤原妍子（（多分）きよこ、正暦５年(994)誕生）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後
    藤原道長	67三条	寛弘９年(1012)2月14日、１９歳	寛仁２年(1018)10月16日、２５歳	約６年	皇太后

    • ◆冊立の状況＝藤原道長の次女。寛弘元年(1004)（１１月、摂関家では珍しく）尚侍に任官。道長は67三条にも保険を掛けたか、寛弘７年(1010)後の67三条に１７歳で入内させた。寛弘８年(1011)67三条即位したところで、寛弘９年(1012)道長は妍子を中宮に押し込んだ。道長と対立していた67三条は女御すけ子を皇后にして意地を見せた。
    • ◆退位の事由＝67三条の譲位・崩御（寛仁元年(1017)６月）後、寛仁２年(1018)退位して、皇太后に。万寿４年(1027)崩御（３４歳）。宇治陵に埋葬された。
    • 父道長と対立している67三条に嫁がされて、辛い人生だったと想像される。一人だけ禎子内親王を生んだ。
    • 道長は（彰子、妍子の他にも）威子も68後一条の中宮に差し出している（詳細省略）。
    
    
  • 藤原威子（たけこ、長保２年(1000)誕生）（先頭へ）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後
    藤原道長	68後一条	寛仁２年(1018)10月16日、１９歳	長元９年(1036)9月6日、３７歳	約１８年	崩御

    • ◆冊立の状況＝藤原道長の三女。寛仁２年(1018)「甥で１１歳の」68後一条に１９歳で入内、同年中宮に。これで道長は天皇の外祖父になり、立后儀式後の宴会で「望月の歌」を詠った。しかし威子は章子内親王、馨子内親王を生んだだけで、男子誕生を見ることなく、道長は万寿４年(1028)（１２月）亡くなった。
    • ◆退位の事由＝68後一条が長元９年(1036)病で崩御すると、威子も同年天然痘で崩御し、宇治陵に埋葬された。道長を喜ばせることはできたが、道長の血を天皇家に残せなかった。
    
    

    藤原道長の娘と孫娘

    
    
  • 藤原もと子（女偏に「原」、長和５年(1016)誕生）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後
    敦康親王	69後朱雀	長元１０年(1037)3月1日（1037年3月20日）、２２歳	長暦３年(1039)8月28日、２４歳	約２年	崩御

    • ◆冊立の状況＝生まれてすぐ「子の無い藤原頼通」の養女になった。頼通は長元１０年(1037)（１月）69後朱雀に入内させ、69後朱雀には中宮禎子がいるにも拘わらずすぐにもと子を中宮に押し込んだ。
    • ◆退位の事由＝在位２年、長暦３年(1039)次女の難産で中宮のまま崩御した（２４歳）。
    • 頼通の手駒に使われた人生だったか。
    
    
  • 章子内親王（万寿４年(1027)誕生）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後	院号と宣下時期
    68後一条	70後冷泉	永承元年(1046)7月10日、２０歳	治暦４年(1068)4月17日、４２歳	約２２年	皇太后／太皇太后	二条院（延久６年(1074)6月16日）

    • ◆冊立の状況＝馨子内親王の姉として生まれてすぐ内親王宣下したが、幼くして両親を亡くした。（伯母）上東門院の庇護を受けて、長暦元年(1037)（１２月）後の70後冷泉に１２歳で入内。寛徳２年(1045)女御、永承元年(1046)中宮。
    • ◆退位の事由＝治暦4年4月17日（70後冷泉崩御２日前）に起こした教通の異常な暴挙で「中宮から皇后を飛ばして皇太后へ」。
    • 子供は無く国母には成らなかったが退位後、院号宣下を受けている（稀なケース）。長治２年(1105)崩御し（７９歳）、父68後一条と同じ「菩提樹院陵」に葬られた。周囲の人に愛されたようです。
    
    
  • 藤原賢子（かたこ、天喜５年(1057)誕生）（先頭へ）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後
    源顕房	72白河	延久６年(1074)6月20日、１８歳	応徳元年(1084)9月22日、２８歳	約１０年	崩御

    • ◆冊立の状況＝藤原師実の養女になって、延久３年(1071)後の72白河に入内。延久５年(1073)女御、師実のトコロテン人事で延久６年(1074)中宮に。
    • ◆退位の事由＝（トコロテン人事の結果として）皇后馨子内親王が在位していたため「皇后にはなれず」中宮のまま応徳元年(1084)病で崩御した（２８歳）。「上醍醐陵」（上醍醐開山堂の近く）に埋葬された。
    • 藤原賢子は５人以上の子を生み、73堀河・令子内親王の生母。表面的には72白河には寵愛されたように見える。
    
    
  • やす子内親王（女偏に「是」、承保３年(1076)誕生）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後	院号と宣下時期
    72白河	----	寛治５年(1091)1月22日、１６歳	寛治７年(1093)1月19日、１８歳	約２年	門院	郁芳門院（寛治７年(1093)1月19日）

    • ◆冊立の状況＝承暦２年(1078)３歳で斎宮にト定、伊勢に下り、応徳元年(1084)（９月）母賢子崩御で、退下。応徳３年(1086)72白河が院政を敷くべく73堀河（８歳）に譲位。73堀河の実母賢子は亡くなっていたので、やす子内親王が73堀河の准母として入内、寛治５年(1091)中宮に、史上初の准母立后となった。当然「やす子内親王は未婚」である。
    • ◆退位の事由＝寛治７年(1093)73堀河（１５歳）の中宮（篤子内親王）が決まり（御用済みとなり）院号宣下を受け、退位。嘉保３年(1096)病で崩御（２１歳）。実母賢子と同じ「上醍醐陵」（上醍醐開山堂の近く）に埋葬された。
    
    

    菩提樹院陵（章子内親王）

    68後一条の陵は神楽岡にある「菩提樹院陵」。70後冷泉中宮・章子内親王は父・後一条と同じこの陵に埋葬された。神楽岡には菩提樹が多い

    （先頭へ）
    
    
  • 篤子内親王（康平３年(1060)誕生）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後
    71後三条	73堀河	寛治７年(1093)2月22日、３４歳	永久２年(1114)10月1日、５５歳	約２１年	崩御

    • ◆冊立の状況＝71後三条の第四皇女で、延久５年(1073)賀茂斎院にト定されたが、71後三条崩御のため「２ヶ月」で退下（１４歳）し「四の宮」として静かな生活を送っていた。１３歳になった73堀河に強く望まれ、１９歳年上にも拘わらず寛治５年(1091)３２歳で入内し、准母やす子中宮に退位してもらって中宮に冊立された。
    • ◆退位の事由＝嘉承２年(1107)73堀河崩御後も在位して、永久２年(1114)５５歳で亡くなるまで中宮位を続けた。望まれた割には（年齢差のためか）子は無く、雲林院に埋葬された。
    
    
  • 藤原璋子（たまこ、康和３年(1101)誕生）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後	院号と宣下時期
    藤原公実	74鳥羽	永久６年(1118)1月26日、１８歳	天治元年(1124)11月24日、２４歳	約６年	門院	待賢門院（天治元年(1124)11月24日）

    • ◆冊立の状況＝幼少の頃（72白河の寵姫）祇園女御の養女になり、以来72白河の愛育を受ける。永久５年(1118)（１２月）２歳年下の74鳥羽（72白河の孫）に入内させられ、翌月中宮に。その後も波瀾万丈。
    • ◆退位の事由＝保安４年(1123)72白河は74鳥羽から５歳の75崇徳に譲位させた。この機に璋子を退位させ、院号宣下した。72白河院のやりたい放題。72白河の生きている限り、74鳥羽はなすすべもなく、璋子は皇后にもなれなかった。
    • 大治４年(1129)72白河が崩御すると璋子は74鳥羽に見放され、74鳥羽もやりたい放題を真似て藤原泰子を（飛び級で）皇后に、藤原得子を（上皇后ながら）皇后にした。璋子は「これらの立后を見て」久安元年(1145)崩御（４５歳）。「花園西陵」に埋葬された。72白河に弄ばれた人生だったか。
    
    
  • 藤原聖子（きよこ、保安３年(1122)誕生）（先頭へ）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後	院号と宣下時期
    藤原忠通	75崇徳	大治５年(1130)2月21日、９歳	永治元年(1141)12月27日、２０歳	約１１年	皇太后	皇嘉門院（久安６年(1150)2月27日）

    • ◆冊立の状況＝藤原忠通正室の長女として生まれ、「父・忠通の期待を受けて」大治４年(1129)75崇徳の女御として入内、翌年中宮に冊立。
    • ◆退位の事由＝75崇徳との間に「子を産まないまま」、父・74鳥羽の横車で76近衛への譲位があり、永治元年(1141)退位して、皇太后になった。
    • 保元元年(1156)保元の乱で、父・忠通と夫・75崇徳が敵味方に別れて戦い、75崇徳は讃岐に流された。皇嘉門院は出家。長寛２年(1164)までは父・忠通、それ以降は異母弟・九条兼実の支援を受けた。養和元年(1182)（１２月）崩御（６０歳）。「月輪南陵」に埋葬された。
    
    
  • よし子内親王（女偏に「朱」、永治元年(1141)（１１月）誕生）

    父親	天皇	冊立の時期と冊立時の年齢（数え年）	退位の時期と退位時の年齢（数え年）	中宮在位年数	退位後	院号と宣下時期
    74鳥羽	78二条	保元４年(1159)2月21日、１９歳	応保２年(1162)2月5日、２２歳	約３年	門院	高松院（応保２年(1162)2月5日）

    • ◆冊立の状況＝74鳥羽と得子（美福門院）との間の子。仁平４年(1154)（８月）１４歳で内親王宣下。久寿３年(1156)（３月）後の78二条に入内。保元３年(1158)77後白河は院政を敷くため譲位、78二条が１６歳で即位。保元４年(1159)（２月）高松殿で中宮に、結果中宮忻子は皇后に。
    • ◆退位の事由＝院政下の77後白河と78二条の関係は悪化し（78二条の女素行の悪さもあって）、よし子中宮と78二条は別居状態になり、永暦元年(1160)２０歳で在位のまま出家した。応保２年(1162)78二条はもう一人の妃育子を中宮にすべく、（78二条にとって役に立たなくなった）よし子を皇后にせず院号宣下し（在位中の天皇の后が院号宣下を受けるのは初例）、退位させた。
    • 概ね（幼少期、別居後）母・美福門院の里第である「白河押小路殿」で過ごした。
    • 中宮退位後、こともあろうか、元中宮が臣下（信西の子・安居院権少僧都・澄憲）との間に子（海恵僧都）を生むという「史上最悪の不祥事」（承安２年(1172)）を起こした。
    • 77後白河の庇護を受けたようだが、安元２年(1176)崩御（３６歳）。
    
    

花園西陵（藤原璋子）	月輪南陵（藤原聖子）
74鳥羽中宮「待賢門院」の墓（右京区花園扇野町）。（何故か）宮内庁「鳥羽天皇皇后璋子花園西陵」との制札が立っている	九条に住んでいて、九条兼実の支援も受けたことから、南の方に埋葬されたか。後に「月輪南陵」に治定された