（東京から引っ越してきた人の作った京都小事典）

調味料 　　　　　　　　　　(INDEX：索引へ)

料理の基本はさしすせそ さ（砂糖） し（塩） す（酢） せ（醤油） そ（味噌） 番外

• さ（砂糖）
  • 京都人にとって砂糖は拘りの調味料ではないように見える。
    • 歴史的に見ると
      • 鑑真が天平勝宝６年(754)来日の時「蔗糖」を持ち込んだ（記録に残る）が「薬」と見做していた。
      • 室町時代以降、中国から輸入されるようになり「菓子の材料」として使われた。
      • 江戸時代後期以降、日本でも製糖が始まったが（薩摩、阿波、讃岐など）、京都では作られなかった。
    • ということで、京都には「特別な砂糖屋」は無く、一般家庭では「通常の市販の砂糖」を買って使っている（ようです）。
      • 和菓子屋は別で「どこどこの砂糖を使っている」という拘りはあると思う。
      • 「和三盆糖」は今でも「阿波、讃岐」のものを使っているようです。　　　　（先頭へ）

• し（塩）
  • 京都人にとって塩も拘りの調味料ではないように見える。
    • 歴史的に
      • 塩は古来から日本にあった。しかし京都ではあまり製塩されず、地方から運ばれてきた。
        • 瀬戸内の塩（赤穂、姫路、小豆島、和歌山など）は淀川から、北陸の塩（若狭、能登、佐渡など）は琵琶湖から入ってきた。
    • 砂糖と同様に、京都には「特別な塩屋」は無く、一般家庭では「通常の市販の塩」を買って使っている（ようです）。
      • とは言え、和食の調理には「塩は必須」で「料理に合った塩を使い分けている」ことは間違いない。
        • 昔から京都での製塩は「丹後半島」でわずかに行われていた。今でも琴引の塩は生産され、量は少ないが京都市内でも流通している。　　　　（先頭へ）

• す（酢）
  • 酢は「友禅染の色止め」など調味料以外にも使われたこともあり、京都には数多くの造り酢屋があった。
    • 一般家庭でも「全国ブランド酢」よりも「京都産の酢」を使っているところが多い（と思う）。
    • 京都市外宮津の「飯尾醸造（明治２６年(1893)創業）の富士酢」も市内でよくお目にかかる。　　　　（先頭へ）

村山造酢	齋（いつき）造酢店	林忠次郎商店
三条通東大路西入ル	六角通油小路東入ル	新町通寺之内上ル
享保年間(1716-)創業、現在に残る一番の老舗で、最大。「千鳥酢」を販売している	今でも「完全古式醸造」で名品「花菱 味ぽん酢」を造り続けている（現在に残る二番目の老舗）	「清酢醸造元 林本家」として「防腐剤・保存剤を使っていない澄んだ清酢」を造り続けている
孝太郎の酢	斎藤造酢店	安田造酢
新町通寺之内上ル−東入	一条通紙屋川−東入ル	猪熊通今出川上ル
林本家創業の約２０年後に分家（本家の近く）。「京あまり米酢」が現在の主力製品	生産量が少ないため幻の酢と呼ばれている「玉姫酢」のファンは多い	酢瓶が並んでいなければ「造酢屋」と気が付かない

• せ（醤油）
  • 醤油は「関西生まれ」（紀州・湯浅）と謂れ、江戸では関西醤油は「下り醤油」と呼ばれ高額で商いされた。
  • ということもあり、京都にも古くから醤油屋があった。
    • 今でこそ「全国ブランド」に押され気味ですが昔造りの「京都産の醤油」を好んで使う家庭も多い。
    • 下記に示す他にも京都市内には
      • 城戸平左衛門商店：大原野、天保元年(1830)創業
      • 木田醤油　　　　：伏見　　などがあり
    • 京都市外にも、亀岡、丹後半島などでも「地醤油」を造っている。　　　　（先頭へ）

松野醤油	澤井醤油本店	五光醤油
千本通土天井町	新町通中長者町上ル	札ノ辻通新町西入ル（東九条）
「昔づくりの京醤油処」として人気が高い、「柚子ポンズも」	まるさわのラベルが懐かしい、薄口もさしみ醤油も美味い	明治１７年(1884)創業。「第一旭」「新福菜館」などのラーメン屋で使っている

• そ（味噌）
  • 味噌という表記が最初に文献に出てくるのが延喜元年(901)（日本三代実録）だから、味噌は「京都生まれ」と言ってもよいだろう。この頃は白味噌だったと推測されている（大徳寺納豆という説も）。
  • 次第に全国各地でいろいろな味噌が造られるようになってきたが、京都では「白味噌文化」が続いた。
  • ということで京都には古くから白味噌屋があった。
    • 今でも全国の家庭で「白味噌」と言えば「京都産の味噌」が使われている。
      • 因みに、明治維新以降、関東では「白味噌」のことを「西京味噌」と呼んだため、若干の混乱を招いている。勿論京都人は西京味噌とは言わない。
    • 京都の味噌を味わうなら「江戸時代から続く（写真の）３店」がお薦めだが、京都市内には他にも
      • 西京味噌：室町一条（本田味噌と元は同一）
      • 山利商店：宮川町、創業１００年余。最近「丸太町の料理屋」で味見できるようになった
      • 味噌庵　：民宿「大原の里」が姉妹店
      • 加藤商店：西陣、大正６年(1917)創業
      • しま村　：京都御苑東、昭和２７年(1952)創業　　などがある。　　　　（先頭へ）

石野味噌	本田味噌本店	御幸町関東屋
油小路通四条下ル	室町通一条上ル	御幸町通夷川上ル
天明元年(1781)創業、現在に残る一番の老舗。いつも市バスに宣伝が出ている	美味さは一番だと思う。やや値段が高目なので、日常遣いにはし難い	広くスーパーなどでも売られているが名前がどうも今一つ、贔屓にはし難い

• 番外（「さしすせそ」以外にも調味料はある）
  • ソース
    • 「醤油・酢」と一緒に「食卓に並ぶソース」も調味料だろう。
    • 「地酒」と同じように京都にも地ソースがある。「全国ブランドとは少し異なった味」がしてファンが多い。
    • 京都市近郊には他にも
      • 蛇の目ソース：亀岡市
      • パパヤソース：宇治市　　　　などがある。　　　　（先頭へ）

    オジカソース	ツバメソース
    山科区勧修寺東出町９	札ノ辻通の１本北の通室町西入ル （東九条明田町）
    大正７年(1918)創業の「ウスターソースの老舗」（京都で最初）	昭和５年(1930)創業。「空前絶後の辛みオリソース」（会社名は「ツバメ食品」）
    ヒロタソース	アジロソース（味露）
    堀川通北大路上ル	六角通西土居東入ル
    京風味のソースで、有名割烹でも使われている。店舗（工場）の前に自製品の自販機を置いている	お好み焼き用に「おこのみソース」のファンは多い（会社名は「日の出食品」）

  • 味醂・その他
    • 不勉強につき、整理する能力がないため、省略。　　　　（先頭へ）